第12章 【秀吉・後編】※R18
「ごめんな…いっぱい泣かせて…本当はもっと撫でてやりたかった。もっと甘やかしてやりたかった。それなのに・・・本当にごめん」
指先が つっと竜昌の涙の跡をなぞった。
「秀吉さま、また『ご』」
竜昌がからかうように微笑む。
「フフ、そうだな竜昌…じゃあ…」
竜昌に指摘された秀吉は、観念したように一度目を瞑ると、大きく息を吸い込んでから、再び目を開けて竜昌を見た。
「愛してる」
「えっ、ひでよ…んっ」
秀吉が左手を、竜昌の首の後ろに回し、強く引き寄せた。それと同時に、竜昌の唇が温かいもので塞がれ、声はそこで止まった。
「ん…ん…」
秀吉は、竜昌に深く深く口づけた。貪るように唇を吸い、また角度を変えては舌先をゆるりと差し入れて歯をなぞる。
無防備な竜昌の唇も吐息も、あっという間に奪われていった。
「あふっ、んっ…でよし、んっ」
離れることを許さないとばかりに秀吉は左手に力を込め、さらに深く舌を差し入れた。
温かい唾液をまとった二人の舌がからみあい、くちゅり、と淫靡な音をたてる。
「…あっ」
秀吉が、やっと探り当てた竜昌のやわらかな舌を軽く吸うと、竜昌の腰がびくりと震え、やがて秀吉の手を握っていたその力が、徐々に抜けていった。
秀吉はゆっくりと唇を離すと、くたりと力を失った竜昌の手を握り返し、その指先に口づけた。
「竜昌…」
先程の慈しむような眼差しとは違い、熱情がほとばしる様な視線と、少しばかり余裕を失った声色に、竜昌は身体の芯がぞくりと痺れるのを感じた。
「ひで、よし・・・さま…」
眼のふちを赤く染め、蕩けるような眼差しで秀吉を見上げる竜昌の口から、秀吉の名が漏れた。
そのかすれたような声に、否が応にも劣情を掻きたてられた秀吉は、性急に竜昌の身体を寝床に押し倒し、その上に覆いかぶさるようにして再び竜昌に口づけた。
「ンッ」
竜昌が秀吉の下で身体をよじると、秀吉の胸に何か固い物が当たった。
「…!」