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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


「まことに…まことに申し訳ございませんでした!」
畳に額をこすりつけながら、竜昌は安土城の謁見の間で土下座をしていた。
正面の上座には信長、その横には舞がハラハラした表情で竜昌を見つめている。
「おおむね光秀から聞いた。まあ良い、当初の目的は果たせたのだ、大儀であったな、竜昌」
「しかし、秀吉様をあのような目にあわせ…面目次第もございません」
「猿め…ぬかったな」
「何もかもわたくしの不手際によるもの。秀吉様には一寸の落ち度もございません。」
「ハッ!この程度でくたばるようなやつなら、俺はあいつを側には置いておらん」
いつか聞いた、光秀と同じような台詞を吐きながら、信長は竜昌の不安を笑い飛ばした。。その真紅の瞳には、秀吉に対する揺るぎない信頼が、ありありと浮かんでいた。
その時、舞が信長の袖口を小さく掴みながら言った。
「信長様、わたし秀吉さんのお屋敷にお見舞いにいってきてもいいですか」
「いいだろう。猿に『だいぶ腕がなまっておるようだな』と伝えよ」
「もう!信長様の意地悪!」
頬を膨らませながら、立ち上がった舞を、竜昌が引き留めた。
「あっ舞様!お待ちください。申し訳ございません、お借りした打掛を…汚してしまいました」
竜昌は、秀吉の血がこびりついた袖口を片手で押さえた。ここまで汚れてしまっては、いくら洗ってももう使い物にはならないだろう。
「そんな!着物なんてまた縫えばいいだけだし、何よりもりんちゃんが無事で本当に良かったよ‥!」
屈託のない笑みを浮かべながら舞は言う。
「舞様…」
「それよりも、それ、秀吉の血だよね?わああ心配だ…」
そうつぶやきながら、舞は脱兎のように謁見の間を後にし、秀吉の屋敷のほうへ駆けていった。
後に残された信長は、舞の後姿をちらりと見送ると、再び視線を竜昌に戻した。
自らの寵姫を、秀吉の見舞いに一人でいかせるとは、よほどの自信があるのだろう。竜昌はあらためて信長という人物の器の大きさに感服した。
「信長様。この竜昌、いかようなる処罰も、甘んじて受ける所存でございます」
再び信長にむかってひれ伏す竜昌。
「処罰?なんのことだ。そんなことより竜昌、秀吉の傷が癒えるまでの間、あいつの補佐を頼んだぞ。覚悟しておけ」
「はっ!?」
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