• テキストサイズ

【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


翌朝まで、竜昌は寝ずに看病を続けたが、秀吉の熱は高い状態が続いた。
しかし冷えている状態よりはかなりいい、と家康は言い、その日のうちに秀吉を安土に連れて帰ることに決めた。
家康は、秀吉の手当てを終えたあの後、寝る間を惜しんで、寺にあった木材や竹をかき集め、急ごしらえの担架のような物を作っていた。これに秀吉を乗せて、家来衆と交代で秀吉を安土まで担いでいくつもりだった。
ほぼ一睡もしてない竜昌は、秀吉の次に死にそうな顔をしていた。しかし竜昌はその疲れ果てた顔に、精一杯の微笑みを浮かべた。
「家康様、ありがとうございました」
「まったく、あんたをこれに乗せていきたいくらいだよ」
「いえ、私は大丈夫です!」
『自分のことは放ったらかしのくせに、他人の事ばっかり気にして。本当にあんたたちそっくりだね…』
「…やれやれ、家康に手柄を奪われてしまったな」
皮肉げに笑いながら、光秀が姿を現した。
「光秀様も、まことにありがとうございます!光秀様がいなかったら、今頃どうなっていたことか…」
光秀はニヤニヤと笑いながら、竜昌の顔を覗き込んだ。
「さて、では最後の仕事といこうか」
「?」
そう言うと光秀は、竜昌の腰を両腕でいきなり抱き上げ、春雷の鞍の上にそっと座らせた。
「キャッ」
驚いて、小さく可愛らしい悲鳴をあげた竜昌を見て、光秀はさらに愉快そうに笑った。
「おや竜昌、手弱女(たおやめ)ぶりがもう板についてきたな」
「…っ!光秀様!」
「ハハハ、では安土で会おう!」
光秀はヒラリと自分の愛馬に飛び乗ると、高らかに笑いながら去っていった。


─── ◇ ─── ◇ ───


/ 372ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp