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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第8章 【家康・後編】※R18


「…さてと、主役は来ませんなあ。ということは、首尾よういった、ということですかな?」
「?」
ホホホと笑う酒井を見て、直政が怪訝そうに眉根を寄せる。
「しかし忠勝、こたびはそなたの演技力に、ほとほと感心致した。ただの戦バカだと思っていたのに」
榊原が、本多の肩を叩きながらそう言うと、本多はぷいと顔を背けた。
「戦バカとは失敬な!しかしあれは半分演技で、半分本気だった。儂もあと五年若ければ…」
「はぁ?」
「しかしあれは康政の筋書きも良かった。さすが駿河一の色男よ」
「いえいえ、それもこれも酒井様が殿のお気持ちを見抜いてくださったおかげ。私どもはあの仏頂面に騙されて、よもや…」
「この忠次が、何年 殿にお仕えしていると思うてか」
再びホホホと笑う酒井。
三人の顔をかわるがわる睨みつけながら、一番若い直政が叫んだ。
「さっきから一体何なんだよ!首尾?演技力?筋書き!?」
「あっ噂をすれば」
遠くから、竜昌を連れた家康が歩いてくるのが見えた。竜昌は見慣れない淡い黄色の着物を着ている。
「お早うございます、殿、藤生殿」
「お早う」
少しだけ頭に寝癖を残した家康は、いつものような仏頂面で気怠そうに挨拶をした。
「お早うございます。皆様お揃いで…」
少しだけ気まずそうに、竜昌は家康の後ろに半分隠れながら、挨拶をした。
「藤生殿が安土にお帰りになられると聞いて、我ら一同、お見送りに参りました」
「そのことだけど…」
家康は、懐から信長からの書状を取り出し、ぱらりと広げた。
「竜昌は、織田方からの援軍として、うちに加わることになった」
「なんと!」
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