第8章 【家康・後編】※R18
「?」
竜昌がその書状を読むと、そこにはこう書いてあった
【 上杉・武田両軍の侵攻に備え
織田方から以下の援軍を駿河に送る
藤生丹波守竜昌 一名
以上 】
それを見て、竜昌はようやく家康の笑いを理解した。
「私一人なのに、援『軍』だなんて…信長様ったら…」
くすくすと笑いながら、竜昌が家康の胸に顔を埋める。
家康は竜昌を再びきつく抱きしめた。
「りんがいてくれれば、十万の兵よりも心強いよ」
「家康様…」
竜昌も、腕をまわして家康の身体を強く抱きしめた。
─── ◇ ─── ◇ ───
その頃、駿府城の東御門には、四天王たちがせめて竜昌の出立を見送ろうと集まっていた。
「う~さすがに朝は冷えますなあ」