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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第8章 【家康・後編】※R18


「…さま、…家康様…」
「ん…」
ゆるゆると眠りから覚めはじめた家康が、腕の中にいる柔らかくて暖かいものが竜昌だと気付くのに、しばらくかかった。
家康は寝ぼけながらも、もう二度と離さないとでもいうように、その両腕で竜昌の身体をきつく抱きしめた。
「りん…」
昨晩あれほど愛し合ったというのに、朝になって再びその固さを取り戻した下半身が、竜昌の腰に触れる。
「ン…家康さま…誰かが呼んでいます」
「…?」
耳をすますと、寝所の厚い襖の向こうから家来が呼びかける声がする。
『家康様、お休みのところを恐れ入ります。安土の織田様より早馬が参りました』
家康と竜昌は、褥の中で抱き合ったまま顔を見合わせた。
信長から早馬とは尋常な事態ではない。まさか戦況が…?
「ここで待ってて」
家康は竜昌の頬に軽く口づけると、起き上がり、夜着を無造作に羽織って寝所を出ていった。
寝具にくるまったまま、息をつめて待つ竜昌。
やがて家康は、書状を片手に寝所に戻ってきた。そして寝床の竜昌のそばに胡坐をかくと、その書状を読み始めた。
「信長様は、何と…?」
竜昌は不安そうに家康の顔を見上げた。
「…ククッ…」
「?」
家康は片手でくしゃりと髪をかきあげながら、含み笑いを漏らした。
「…アハハッ」
「家康様…?」
さも可笑しそうに笑いながら、家康はどさっと竜昌の横に倒れこみ、手にしたその書状を竜昌に見せた。
「俺…あの人に一生敵う気がしない」
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