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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第8章 【家康・後編】※R18


「家康様は…これから、睦姫様のような姫君をお迎えして、駿河国の当主として立派にお家を守っていかれるお方です」
「あいつはただの従妹だけどね」
うんざりといった表情で、家康がつぶやく。
「今の私では、家康様のお側にいることは叶いません。…でも本多様の側室になれば、少しでも近くでお仕えして、家康様をお守りできると思って…」
「はあ…」
「…申し訳ございません…」
顔をくしゃくしゃにしながら涙を零す竜昌を見つめながら、家康は一層深くため息をついた。からかうような表情が、ふと真剣になる。
「…泣き虫だね、りんは」
次の瞬間、涙に濡れ 冷えた竜昌の唇に、温かい家康の唇が触れた。
「んっ」
竜昌の視界には、薄く開けた目からのぞく家康の翡翠色の瞳と、長い睫毛、松の枝ごしに降り注ぐやわらかな月の光と、それに透かされたやわらかな家康の髪が映っている。
その美しさに見惚れながら、竜昌はしかし自分の身に何が起きているのか理解するのに、だいぶ時間がかかった。
「…ん、しょっぱい」
家康は、竜昌の唇についた涙をすべて舐めとるかのように、何度も浅い口づけを繰り返した。唇同士が離れる度に、ちゅっと濡れた音がかすかに鳴る。
「いえゃ、さま、あの…んっ」
竜昌が息も絶え絶えに声を出そうとするが、ことごとく家康の唇に塞がれてしまう。
「りん…」
普段とは違う幼名で呼ばれ、熱を帯びた家康の視線に捉えられながら、さらに深い口づけを受けると、身体の芯がぞくりと震えるような感覚が襲い、思わず喉の奥から声が出た。
「ンッ…」
家康はやっと唇を離すと、竜昌の身体を両手で強く抱きしめた。
「ごめん、我慢できなかった…ずっとこうしたかったから…」
荒い息で上下する竜昌の肩に顔を埋め、家康がつぶやいた。
お互いの身体がぐっと熱を上げるのがわかる。
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