第8章 ターゲット
僕は基本的に相手の攻撃を避けるだけ…後は中島くんが気絶させる。
ここまで順調に進んでいる…それが警戒心を増幅させる。
敦「おかしいですね…。」
主「中島くんにも分かる…?」
敦「はい、この黒服達は囮のような気がするんです。」
主「確かに、その考えは間違いでは無さそうだね……っ!中島くん伏せて!」
敦「え…ッ!!」
遅かった…中島くんの肩が銃弾に貫かれた。
而もその型は壁に大きな跡を残した物と一致する…?
それなら危ない…あれには毒が…!
主「中島くん…!!」
近寄ろうとした瞬間に僕に銃弾が急接近した…。
間一髪避けられたから良かったものの、当たっていたら僕も危なかっただろう…一体何処から撃っているんだ…?
敦「劉娥…さん…。」
中島くんが弱っている…此処は僕の番か。
主「いい…そこで休んでい給え。」
中島くんに休んでいてもらい、僕が戦うことにした…。
実を言うと僕は兄さんより体術や銃撃戦が強い…だから少しは何とかなる…と思いたい。
主「此れを撃っているのは何人だ…随分と有能なスナイパーのようだけど。」
直ちに銃弾の飛んでくる方向を見定め、すべて避けていく。
あんな物に当たったら如何しようもない。
主「弾が…増えている…!?」
弾の速度が上がり、弾数も増えてきた。
之では流石の僕でも幾つか当たってしまう…それだけは避けたい。
━━━━━━━━「落ち着いて…劉娥、怪我をしたらどうにもならない。よく周りを見るんだ。」
何故か兄さんの声が聞こえた…僕はこの弾に当たらなければいい…只それだけ。
主「成程…起きて、中島くん…!」
敦「え…?ちょ、劉娥さん!?」
中島くんにはこの毒が効かないのか?
どうやら彼は体力が少し回復したらしく、参戦しようとした。
主「いいの…?中島くん、何処から来るか分からないんじゃ…。」
敦「いえ…感じるんです…何処から来るか…分かります。」
主「成程…異能力が身についてきたようだね…。」
拙い…長期に渡って戦闘が続いてしまっている。
情けないことに…僕には体力がない。
だから短期戦しか余裕を持てない…。
主「はぁ…ハァ…っ!」
凄まじい殺気を感じた…而も背後に。
僕はミリ単位で攻撃を避けた…然しそれを読んだのだろう…銃弾が僕の背中を直撃した。