第6章 やっぱり好き。
遥side
少しずつ音もハッキリと聴こえてきた。
銃声が鳴ってる。
僕、撃たれたんだ。
「遥っ!大丈夫か!?」
「血・・・が・・・」
「っここじゃ危険だ。場所を変える。頭隠してろ。」
坂間さんの声が震えてる。
僕をそのままお姫様抱っこして道を走って戻っていく。
銃声は鳴り止み、静かになる。
道が開けてきて僕を降ろす。
「遥、落ち着いて聞いてくれ。」
僕の頬を撫で血を拭き取る。
「よかった、掠っただけだったか。・・・俺はアイツらを足止めする。その間になるべく人気の多い街へ早く戻れ。須賀野達が迎えに来るはずだ。いいな?」
「え、坂間さんも一緒に・・・」
「行けない。俺は食い止めておくから早く行け。」
「でも武器は全部置いて行ったじゃないですか・・・」
「・・・そうだったな。俺は大丈夫だ。お前を守ると約束した。だから逃げてくれ。」
優しく微笑み僕の頬を再び撫でる。
ずるい。
こういう所。
「だったら、ちゃんと生きて帰ってきてください。約束です。」
「分かった。」
本当は抱き着きたかった。
最後かもしれない。
でもそんな事したら坂間さん嫌かもしれない。
僕の勝手な片思いだもん。
「待ってますから。」
「あぁ。」
僕は荷物を持ったまま、街へと駆け降りていった。
走って・・・走って・・・
涙が溢れ出るのを抑えようとした。
頬の痛みなんてどうだっていい。
こんなの痛くなんかない。
それよりも、好きな人を失うかもしれないという不安の方が大きく、心臓が痛かった。
約束したんだ。
あの人なら大丈夫。
そう信じていたい。