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【R18】最高の結婚

第10章 愛しているから


遥side

「あの時、お前と出会ってなかったら姉を助けに行って無かったと思う。」

あの時の男の人、中原さんだったんだ。

「・・・姉を助ける為に、俺は猪田に手を貸した。坂間さんの弱みを見つける事。情報を全てこっちの組に伝える事。組を裏切った瞬間、姉は殺される。」

「・・・そんな事があったんですね。・・・何も知らず・・・すみません。」

「いいんだ。・・・俺が悪い。」

大切な人を守るためなんだ・・・
中原さんは前にそう言っていた。
お姉さんの事だったんだ。

「・・・まさか、こんな感じでお前と再会出来るなんて・・・最悪だ。初めて会った時から俺はお前の事が好きだったんだ。それなのに、坂間さんの弱みだなんて・・・殺しの対象だなんて。」

「・・・中原さん、ありがとうございます。話してくれて。」

嘘なんてついてなかったんだ。

「けど、これがバレたら中原さんのお姉さん・・・まずいんじゃ・・・」

「・・・俺の初恋を諦めるなって言われたんだ。だからと言って姉を殺させはしない。ここから出す。」

中原さんはやっぱりいい人だった。
色んな事を犠牲にしてまで僕やお姉さんを守ろうと。

自分の命の事なんて全く考えていない。

「その薬は副作用が出るかもしれない。完全に治るわけじゃ無いが、少しは違うと思う。・・・お腹の子はどうだ?」

「・・・それが・・・全く動かなくなったんです・・・」

「・・・そうか・・・けどまだ分からないな。遥、諦めるな。きっと、助かる。皆。あの人なら何があろうと無理をしてまでここに辿り着くはずだ。それまでは俺を信じて守らせてくれ。」

「・・・僕は・・・ずっと信じてますよ。」

無理だけはしないで欲しい。
1番悲しむのはお姉さんだろうから。

中原さんが立ち上がり、そろそろ行くと部屋を出ていってしまった。

「遥、俺最低な奴だ。あの人のこと何も知らずに。」

「それは僕だって一緒だよ。けど、もう違う。信じていようよ。」

だからって頼ってばっかりじゃ駄目だよね。
もしかしたら簡単に出れるかもしれない。
僕達が自分で脱走したら、中原さん達には被害は及ばないはずだ。

「僕達も・・・負けてられないね。」

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