第8章 Shall we dance、LittleLady
んんんー?姉君また変な事言い出すんじゃないの?何かそんな悪いって言うか挑発的な顔してる。そう…えーと…小悪魔みたいな。
『アタシを惚れさせて。これでも一応女子だから惚れた相手と結婚したいの。お家の為とは言え親の勝手で結婚なんてしたくないわ』
「チェリー…!お前…!!!」
「おっと待てよ親父。それは求婚者が複数名居たらの話だ。ぶっちゃけこんなじゃじゃ馬お転婆お姫様に求婚する相手が居るかは不明だがな」
『そうね、アタシもそう思うわ』
取り敢えず親父を抑える為の挑発だったけど意外にも姉君はその挑発に乗らなかった。
『では皆様、残りの時間は存分にお楽しみ下さいませ』
※※※
「お前はなんて事をしてくれたんだ!?」
衣装部屋でお色直しをしていたら父上の劈く様な怒声が響く。
『あら?どうしてです?私は私なりに優秀な者を厳選したつもりですが?優秀な跡継ぎが欲しいのでしょう?彼等のうちの誰かと結婚すればとても優秀な跡継ぎが出来ると思いますが?』
「だがあの様なやり方では出世を目的とした輩に良いチャンスを与えたものと同じだ!評判だって下がってしまうぞ!」
『評判?』
「…っ!?」
紅を挿す指を止めて視線だけ父上に向ける。多分それなりに負の感情が出てたのだろう。父上は一歩後ずさる。
『私の秘密を知られた時点でクローバー王国にあるシャネル家は壊滅しますよ』
「チェリー…まさかお前…」
『いつまでも何も知らない子供だと思わないで下さい。そして母上やシェリーを馬鹿にする権利は貴方に無い。なんたって貴方だけがシャネル家の血を引いてない単なるお飾り貴族の婿養子なんですから。貴方にシャネル家を仕切る権利は無いんですよ』
苦虫を噛み潰したような表情と微かに震える拳。誰だって子供にこんな事言われたら腹が立つだろう。だとしても時期当主としてこれ以上、父上に好き勝手させる訳には行かない。
-ガチャ-
「!」
『…メレオさん!来て下さってたんですね!』
「…すまん。立ち聞きするつもりは無かった」
『お気になさらず。そろそろハッキリさせなきゃと思ってたので』
ポン、と乗せられた手が手荒にアタシの頭を掻き回す。
「私の義妹になるといい!」
『…え?』