第4章 Steal my heart、Girl
襲って来た敵国の魔道士を返り討ちにして不自然に大きな扉を開けるとだだっ広い空間に目が眩む様なキラキラした金銀財宝の山がぎっしり。向かいの奥にも大きな扉があって鈍い音が響きながら開く。そこにはアタシ達以外の三人が居た。残りの敵を倒したのかちゃんと拘束してある。
「あー、エリートチームに先越されたな」
「姉君!!!」
飛び付いてくるシェリーをひらりと躱すとそのままお宝の山に突っ込んで小さな雪崩が起きる。
「貴様等の所にも敵襲は居たか…少しばかりそっちの方が人数多かったみたいだな」
ジロリとアタシ達の後ろで伸びてる敵を見てアタシの頭を掴む。
「…無理はしてないだろうな?」
『えっ!?』
ドキリと心臓が騒がしくなる。アタシの本来の魔法を知ってるのは一族の一部と………ユリウス団長とメレオさんだけ。さっきその二人にも見せてしまったが…まぁ他言する様なタイプでは無いし。
『勿論!アタシなんかより全然優秀な二人が付いてたんだもの!ね!?』
「「あ…あぁ…」」
「ならば良いのだが」
※※※
「ねぇー姉君。これとか姉君に似合いそうじゃね?」
『あーはいはい、そりゃどうも』
宝物庫にあった古書をパラパラと捲るチェリーに同じく宝物庫にあったアクセサリーを合わせてみては軽くあしらわれるシェリー。この二人の距離感は姉弟とは少し違う感じがする。双子だからだろうか。だとしても双子にしては二人共似て無さすぎる…チェリーに至っては両親にすら似てない。
「雌獅子とヤミ先輩遅くねー?」
『王都までそれなりに距離あるし往復だから箒で飛ばしてもそれなりに時間かかるわよ』
正論を言うチェリーの言葉につまらなさそうに押し黙ると、また宝の山を漁り出す。現在宝物庫に居るのは私、ノゼル、シェリー、チェリーの四名。姉上とヤミは宝物庫の宝を運ぶ人員を呼びに王都まで戻ってる。
「あ!ねぇこれは!?このティアラとか」
ちょん、と頭の上にティアラを乗せるとチェリーの片眉が僅かに動く………かと思えば。
-ひゅっ…-
「「!?」」
「ひぇ………罠とか敵襲とかあったのにピンピンしてるのな!流石姉君!」
『あーもー分かったよ暇なんでしょ?久々に稽古付けてあげるからかかっておいでよ』