第3章 Please kiss me、Girl
『じゃあ何故』
つぅー…と綺麗な指が男の輪郭をなぞる。
『貴方の重力魔法、素敵よねぇ』
くいっと顎を持ち上げる。
『アタシにちょうだい』
一同「!?」
『大丈夫、日常生活には支障は出ないから。ただこうして戦士として戦う事は出来なくなるけど』
「ま…待て!!」
『憑依魔法"夢魔の誘惑(サキュバステンプテーション)"』
※※※
『成程』
重力魔法ってやっぱり使い勝手が良さそうだな、と魔導書を見ながら氷の城壁に触れると粉々に砕ける。
-パリン-
「チェリー!」
「お前の魔法は氷じゃなかったのか?」
『主は氷。本来は憑依』
この魔法はあまり好きじゃない。だってこの魔法の発動条件は…
『返すわ。憑依魔法"泡女神の口付け(アフロディーテのキス)"』
「「!」」
背の高い二人の胸倉を掴んで引き寄せて交互に二人の唇を掠める。
魔法、魔力の貸し借りは対象に口付けをしなきゃいけないのだから。強奪する時は別だけど………と先程、能力を強奪した敵を見るとだらし無く痙攣して口の端から涎を垂らす。
「コレは…何をしたんだ?」
『魔法貰ったの』
「…貰った!?」
『正確に言えば強奪?』
「「強…奪………」」
『男性にとってはいい夢見てるんじゃないかな』
夢魔とは淫夢を見せる女性型の悪魔。泡女神…所謂アフロディーテは女神だけど性に関してふしだらだったと言う。アタシの本来の魔法はどれも性に関してだらしが無い………アタシはそーゆー女にはなりたくないかな。
『二人も見る?見たいなら見せてあげるけど…』
「「遠慮しておく………」」
『そう?』
シェリーなら喜んで見そうだけどなぁ…この二人はそーゆーの興味無いのかしら。
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