第2章 How are you、Girl
『はぁ…疲れた』
ヘタリと座り込んで魔導書を仕舞うと雪は止んで氷は溶けていく。
「へぇ…ちゃんと溶ける様にはなってるんだな」
『当たり前でしょ。氷は命を取る自然災害なんだから』
「つーか氷属性だったなんて知らなかったぞ?シェリーは雷属性だったからてっきり同属性だと思ってた」
『………双子だから同じって事は無いでしょ。ね、フエゴ?』
と言われても姉上も炎だし弟も炎だから違うとも言いきれない。
※※※
王貴界にある最大の図書館。そこに入ると見知った背丈の小さい人物が窓際で真剣に本を読む姿が目に入る。ローブを羽織っていない事から今日は休日なのが伺える。
「調べ物か?」
『ただの読書。屋敷の書庫でも良かったんだけど、もう読み尽くしてるから面白くなくて』
こちらを見向きもせず本から目を離さぬまま答える。
「先日の任務…大いに活躍したらしいな」
そう言うと真紅の目がチラリと此方を向き、そして直ぐに本へと戻る。
『先輩達が油断して手傷を負わなかったら先輩達が活躍してただろうけどね』
「下民を守りながら戦ったらしいな」
『そーゆーの、関係無いと思うんだよね』
真紅の目が優しく細められる。
『王族も貴族も平民も下民も関係無い。助けが必要なら助けなきゃ』
「………」
『王国を…国民を守る為の魔法騎士団だもの。身分の違いは野暮ってもんよ』
ね?と屈託の無い笑顔を向けられて思わず半歩、後ろに下がる。
『………、じゃあアタシはお暇するわ。人が増えてきたし』
静かに本を閉じると椅子から立ち上がって沢山の本を抱えて本棚へ向かって歩くが少しふらついてる足元が心配になる。
「手伝おう」
『………ありがと!』
「っ!」
チェリーのこの笑顔は何かを掴まれそうで何かを持って行かれそうで…少し危険だと頭の隅で思う。
→NEXT STORY.