第7章 スキップ×ステップ×ターン!
踊る順番はズーリィが名簿からランダムに決めるらしい。
いつ自分の番がくるのか分からないので、これは非常に精神をやられる。
どうか1番じゃありませんようにッ!!
速まっていく鼓動を落ち着けようと必死に祈る。
「踊る時に一番大切なのは笑顔だよ♣︎ ほら、笑ってごらん❤︎」
そんな焦っている私とは真逆で、涼しい顔をしているヒソカが少し腹立たしい。
「それでは試験を開始しまァ〜〜す!! え〜と1番目は……ヒソカ!」
なんと。 まさかのヒソカ。
自分の名前を呼ばれたわけではないのにビクッと反応してしまった。
しかし、当の本人は堂々とステージへ上がって行く。
私達残りの受験生は観客席へと座り、始まるのをじっと待つ。
ズーリィは観客席の前、ステージの正面に設置された機器を操作しながら試験開始の合図を出した。
「それじゃァ〜〜スタァ〜〜〜ト!!」
合図と同時に流れ出した音楽。
私と同じく皆もヒソカが踊れると思っていないらしく、無様な姿が見られるのを楽しみにしているらしい。
人を馬鹿にした罰が当たれば良いと思った。
しかし、私達の期待は見事に裏切られてしまう。
…………………あれ、上手くない?
ヒソカは踊っていた。 見事なまでに。
皆口をあんぐり開けて魅入っている。
「いいねェ〜〜いいねェ〜〜!! 合格!」
合格を言い渡されたヒソカは洗練されたうごきでお辞儀をする。
その動作にさえも目を奪われる。
「……とっても素晴らしかったデス」
悔しいが、隣に座ったヒソカを素直に褒めた。
「どうも❤︎」
「次はァ〜〜ニーナいってみよう!!」
「は、はぃい!」
まさかもう選ばれるとは。
1番に選ばれなかったので完全に油断していた。
心の準備もできていないし、恥をかく覚悟も出来ていない。
………………どうしようどうしようどうしよう!
とりあえず適当に動いてみようか。
ヒソカの動きを思い出して、少し動きを変化させればなんとかならないだろうか……
切り抜ける方法を考えながら歩みを進めていたが、結局何も思いつかないままステージへ辿り着いてしまった。
「スタァ〜〜ト〜〜!!」
そして、死の宣告を受けた。