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覇者×ト×敗者

第7章 スキップ×ステップ×ターン!


三次試験会場へは、夜が明けた頃に到着した。
係員の指示に従って飛行船を降りるとそこは建物の屋上だった。
街を一望できる程の高さを有するビルの中へと案内される。
綺麗な室内へと通されると同時に照明が消えた。

「な、なに!?」

慌てて身構える。
他の受験生達も何事かと辺りを警戒しているようだ。

「ようこそおいで下さいました!!」

バッと一点の照明がつく。
存在を強調するように一部だけついた照明の元へ視線を向けると、煌びやかな衣服を身に纏った女性が満面の笑みを浮かべていた。

「三次試験担当官のズーリィでェ〜〜〜す!」

試験官のズーリィは美人だった。
おまけに露出の高い衣服で受験生達の視線を釘付けにしている。
今まで試験開始前は殺伐としていたが、今回は試験の開始を楽しみにしているのが皆から伝わってくる。

ズーリィの雰囲気から察するに、血生臭い試験を課すことはないだろう。
皆と同じく肩の力を抜こうとした時、

「三次試験の内容は〜〜〜ダンスでェ〜〜〜す!!」

じゃじゃ〜〜ん!とズーリィが両手を広げると、彼女の背後の幕が左右に勢いよく引かれた。

「この舞台で1人ずつ、私がランダムに選んだ曲で踊ってもらいまァ〜〜す!!」

私は絶望した。
思わず膝から崩れ落ちてしまう程に。
今まで踊ったことなど一度もないのに!


…………………終わった。


今までの試験はなんとか出来る内容だったが、今回のは運や知識でどうにか出来る事ではない。
周囲から重苦しい空気が漂ってきた。
どうやら他の受験生も同じ気持ちらしい。
易しい試験になると思っていたが、とんだ見当違いだった。

「あれ……ヒソカ、なんでそんなに嬉しそうなの……?」

唯一顔に笑みを貼り付けている奇術師。
なぜそんなに余裕なのだろうか。
失礼ながら踊れるようには見えないが。
訝しげな私の視線に、ヒソカは笑って答えた。

「ボク、踊るの得意なんだ❤︎」

え、ヒソカが?
得意? 踊りが?
嘘でしょ?

「ぶッ!」

ヒソカが踊っている姿を想像したら、反射的に吹き出してしまった。
しまった!とすぐさま口を塞いだが時すでに遅く……

「ヒィッ」

あの不気味な笑みで睨みつけられてしまった。

「キミがどんな風に踊るのか楽しみだよ❤︎」

この笑顔はイケナイやつだ!
凄く嫌な予感がする……
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