第6章 協同×デ×競走
婆様が今の私を見たら、私の脳天にいつも持っている杖をめり込ませていただろう。
お淑やかに振舞わなければならないのに、男どもを蹴散らして肉にかぶりつくこんな姿は絶対に見せられない。
しかし、矛盾してる気がする。
お淑やかに振舞っても、戦いで豹変した姿を見たらどの道逃げられるではないだろうか。
それともあれか、確か………ギャップ萌え……というやつでより好きになるのだろうか?
そんな事を考えながら、勝ち取った肉の塊をどんどん胃袋の中へと納めていく。
肉の争奪戦に負けた者は肉の一欠片と木ノ実を食している。
「はぁ〜美味しかった!」
「くっ」
「肉がぁ…」
「………」
イモリにはそれなりの大きさの肉を分けたが、他の者とは容赦なく戦った。
肉を掛けた戦いでこの私が負けるわけがない。
少し雑談をした後、私を除いてメンバー6人とイモリで見張りの交代をする事になった。
私も見張り役を申し出たが、「ニーナはもう役割があるから」と断られ続けたので私が折れた。
「では、お願いします」
こうして、私達の長い一日が終わった。
夢を見る事もなく、またぐっすりと深い眠りにつく。
そして次の日。
「ん…はぁ〜あ…」
夜明けと共に目が覚める。
「よっ!おはよう」
「トンパ、おはよう」
最後の見張り役はトンパだったらしい。
「もう出発するか?」
「そうだね、なるべく距離を稼いでおきたい」
「了解。 他の奴らを起こしてくる」
トンパに起こされ、皆欠伸と共に起き上がる。
軽い準備運動をして出発だ。
昨日と同じく私が先頭でその次にトンパ。
他のメンバーもトンパの後ろに一列で並んで歩く。
進んでいくにつれて違和感を感じた。
おかしい。
最初の頃は生き物の気配を多く感じていたのに、今は全く感じない。
生き物が全て消えてしまったみたいだ。
しかし油断は禁物。
気を引き締めて歩みを進めて行く。
そして遂にゴールへと辿り着いた。
そこは開けた場所で、飛行船が待機している。
飛行船の乗船口にはロボスの姿が見える。