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覇者×ト×敗者

第6章 協同×デ×競走


調理を彼らに任せてイモリの横に腰を下ろす。
摘んできた薬草を口に入れて少し咀嚼すると、次第に口の中に苦味が広がってきた。
それを吐き出し、抱き起こしたイモリの口にねじ込んだ。
あまりの苦さに吐き出そうとしたが、リベラの枝を口元に押し付けて水を流し込む。

「うっぐ…」

「これでもうすぐ動けるようになります」

「あ、りがと…ぅ…」

再びそっと寝かせて、一息つく。

「はぁ…」

緊張が解けてドッと疲れが押し寄せてきた。
まともに睡眠を取っていない事もあり、頭がぼーとしてくる。

「少し横になったらどうだ? お前に倒れて貰っちゃ困るし。 肉の調理はオレ達に任せな」

「ありがとう、トンパ。じゃあ、お言葉に甘えて」

少し横になる事にした。
寝不足で明日集中出来なかったら、仲間の命を危険に晒してしまう。
お言葉に甘えて休ませてもらおう。

目を閉じた途端、意識を手放すように眠りについた。



あれからどれくらい眠ったのだろう……
なんだか凄く良い匂いで意識が覚醒していく……


…………肉!!!


これは間違いなく肉の匂い!!
ガバッと起き上がると、近くにいたトンパがビクッと肩を震わせた。

「び、びっくりした……ちょうど肉が焼き上がったんだ。食べようぜ」

「はい!」

隣で眠っていたイモリを揺すってみると、ゆっくり起き上がった。

「か、身体が動くっ」

「薬草の解毒作用で麻酔が早く切れたんです」

「あ、ありがとう! 命の恩人だ!」

「いいえ、大した事はしていません」

イモリは私の両手をギュッと握りしめ、泣きながらお礼を述べる。
泣くイモリを連れて、焚火の周りに集まってる仲間の輪の中へ入る。

「おっ、目覚めたか! 良い感じに焼き上がってるぞ!」

「そっちは……もう大丈夫なのか?」

「あ、あぁ! 助けてくれてありがとう!」

「ま、俺達は大した事してねぇけどな」

「感謝ならニーナにしな。俺達も助けられたんだ」

イモリは再び私に向き直ると、また瞳に涙を浮かべて感謝の言葉を述た。

「いいよいいよ! さ、肉を食べましょう!」

そして、私の合図と共に肉争奪戦が始まるのであった。
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