第6章 協同×デ×競走
歩き続けて数時間後。
太陽の位置からして午後3時。
極度の緊張状態で、もう何時間も食べていないのに全く空腹を感じない。
このままでは、休んでも体力は回復されない。
それに、夜を過ごす場所の安全も確保したい。
「今日はここまでにしましょう。 食糧と寝床の確保がしたいので」
「俺は食糧調達を手伝う」
「じゃあ残りは寝床を作ろう」
皆が協力的になったお陰で随分と楽だ。 精神的に。
寝床確保と火起こしをトンパ達に任せて、私とトードーで食糧を探しに行く。
「あ! 木ノ実発見!」
「でもあんな高い所どうやって……」
「私が落とすので拾って下さい!」
木登りは得意だ。
不意にヒソカの顔が脳裏に浮かんだ。
「まるでサルみたいだね❤︎」と笑っているあの顔が。
ここにいなくて良かった……
枝を揺すって木ノ実を落としていく。
これだけでは足りないので、出来れば果物か肉を調達したい。
「結構取れたな」
「次は果物か肉を探しましょう」
「俺は肉がくいてぇなー」
「そうですね。獲物を探しましょう」
久しぶりの狩だ。
私は大いに張り切って獲物を探し、トードーと共に狩をした。
偶然にもイノシシの群れを見つける事が出来て幸運だ。
驚く事に、トードーは図体の割になかなか素早い動きをしていた。
後は飲み水の確保。
リベラという、切り口から水が滴る木を探す。
「あった! 」
中は少し空洞になっており、その中に水が蓄えられているのだ。
いくつか枝を切り、水がこぼれ落ちないように切り口を上に向ける。
これで脱水症状の心配も要らない。
「俺が持とう」
「ありがとうございます」
後は……
いまだ身体が麻痺して動けないイモリのために、解毒作用のある薬草も摘んでいこう。
必要な物を持ってトンパ達の元へ戻ると、辺りがだいぶ綺麗に整理されていた。
「お!肉だ!やったー!」
「焚火用に枝を集めておいて良かったな!」
「急に腹が減ってきたぞ!」
肉を持ってきて良かった。
これで皆の士気も上がる。
「トードーが肉を持っていこうって提案したんですよ」
「!?」
「そうなのか! ありがとなトードー」
「わかってるじゃねーか! トードー!」
トードーは少し困惑していたが、皆から褒められて満更でもなさそうだった。