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覇者×ト×敗者

第6章 協同×デ×競走


「っ!」

「どうかしたのか!?」

心配そうに聞いてくるトンパに何て答えれば良いのか分からず、“それ”に指をさした。

「……おいおいマジかよ…」

何事かと他の者達も覗き込む。

「うわっ!」

「し、死んでるのか!?」

男が倒れていた。 それも1人ではなく7人の男が。
まだ息があるか確認しようと近付いてみるが、確認するまでもなかった。

「コミ・コープスに捕食されてる」

男の身体に根が張っている。
見る限り、もう体内の深くまで達しているだろう。
こうなったらもう助からない。

「…た、すけ……」

全員手遅れだと思っていたが、まだ息のある男がいた。

「あいつ、まだ生きてるぞ!」

「私が見てくる!」

近寄ると確かに息をしているし、意識もはっきりしている。
男を背中に担ぎ上げて皆の元へ戻る。
皆顔が真っ青だ。

「アモリ三兄弟の末っ子、イモリじゃねぇか。助かるのか?」

「時間が経てば大丈夫」

どうやらトンパはこの男を知っているらしい。
イモリという男を背負った状態でまた歩みを進める。
他の者も無言で歩みを進める。
空気が重い。 あんな光景を見たせいだろう。

やっとコミ・コープスの群生地を抜けた所で休憩する事にした。
ぐったりしているイモリをそっと横たえる。
他に怪我をしていないか身体を確認していると、トンパがイモリを覗き込んだ。

「にしても、植物にやられちまうとはな……」

「暗い内にゴールを目指してああなったのかも。 知識が無くても、死ぬ事は回避出来たかもしれないのに」

この言葉で皆顔を俯かせた。
喧嘩を売るつもりで言ったわけではなく、いかに危険なのかを知って欲しかった。

「すまなかった」

「俺もすまなかったな」

どうやら反省してくれたようだ。
腹は立っていたが、こう頼りにされて嫌な気はしない。
それに、死なれて失格になるのも嫌だし。


許そう。


「皆で合格しましょう」

「おう!」

「やってやるぞお!」

メンバーと少し距離が縮まったところで休憩を終える。
そしてイモリを背負おうとした時、

「俺に任せてくれ」

「こいつは俺達が交代で背負うから、道の安全確認を頼む」

こういうの、悪くない。
イモリを他のメンバーに任せ、私は自分の役割を果すべく前を向いた。
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