第6章 協同×デ×競走
数時間後、辺りが明るくなってきた。
腰を上げて服から土を払う。
「夜明けまで待ったぜ、もしそのせいで他のチームに遅れを取って合格出来なかったらぶっ飛ばすからな!」
「そん時は責任取って貰うからなクソ女!」
婆様、母様。
私は男が嫌いになりそうです。
一発顔面に蹴りを入れてやりたい。
「ぶっ飛ばす? 出来るもんならやってみな!」
「あぁ?」
「それじゃあ出発するか! えーっと……こっちだ!」
一触即発な空気を変えようとトンパが明るい調子で間に割って入る。
険悪な空気の中、私達はトンパの後を黙って歩いていく。
それから約一時間進んだ頃、私はハッとしてトンパの襟元を掴んだ。
「待って!」
トンパ含むその他のメンバーが周囲の気配を探り始めた。
しかし、私が注目して欲しいものは気配など発しない。
「コミ・コープスだ… 葉の裏から出ている粘液に触れると、その部分から身体が麻痺して最後には捕食される……」
「ほ、捕食って……この植物にか!?」
「はい。 生きた状態で」
皆から緊張が伝わってくる。
あるいは恐怖だろうか。
植物なんてここへ辿り着くまで多く身体に触れている。 警戒の対象外だったから。
殺気はもちろんの事、気配すら発しない植物を警戒するなんて至難の技。
唯一頼れるのは知識と勘。
危険植物はその危険度に比例して見た目も派手になる傾向がある。
現にコミ・コープスは全体的に赤く、静脈みたいに黒い筋が這っている
見るからに怪しそうなものには近づかない方が良い、という事だ。
「は、早くここから離れようぜ! トンパ、ナビゲーターだろ。 先に行けよ」
「え!? 」
『「待て! コミ・コープスは1つ見つけたら30から50は辺りにあると思え。 地を這っている茎で全て繋がっている。 獲物が離れた場所で倒れても、近くに生えているやつが捕食出来るように。 私が先頭を歩くので、後ろに付いてきて下さい。 私が歩いた道を正確に辿って下さい」
私の指示に異論を唱える者はいなかった。
素直に一列になって付いてくる。
生きたまま食べられるなんて、考えただけでゾッとするから当然か。
トンパに方向を指示してもらいながら慎重に進んでいく。
もうそろそろコミ・コープスの群生地から抜け出せる。
そう安堵した瞬間、視界の隅に捉えた光景に絶句する。