第6章 協同×デ×競走
ピピピッピピピッ
「お?」
あれから数十分後。
トンパの持っているナビが起動した。
画面には赤点と黄色い三角形が写っている。
「恐らく、赤点がゴール地点でこの黄色い三角形はオレ達の現在地だろう」
「この赤点目指せばいいんだな?」
「思ったより楽勝じゃねぇか?」
「他のチームの奴らが襲ってきたら返り討ちにすれば良いし、野生動物ぐらいなんて事ないだろ」
彼らは簡単に言うが、高温多湿で気温の年較差も少ないだろうこの密林は、多くの生物にとって非常に棲みやすい環境といえる。
ので、種類が限定されず、多くの種が生息できていることになる。
生息している種が多くなるという事は、生態系の中で生存競争が激化し、生き残りをかけた進化が繰り広げられてきたに違いない。
生存競争で生き残るのに有利な生物が残っていった結果、簡単に対処できる事はほぼいないだろう。
特に注意しなければならないのは毒を持った生き物だ。
「早速出発しようぜ」
「暗闇の中を歩くのは危険です。 明け方まで待ちましょう」
私の発言が気に入らなかったのか、他のメンバーが顔を顰める。
「はぁ? 灯りもあるし問題ないだろ! 」
「そうだ! こうしている間にも他のチームはどんどんゴールに近づいてるだろうよ!」
「私は危険な近道よりも、遠回りで安全な道を進みたい。 ちなみに、貴方達が進もうとしている近道は99%の確率で死が待っています!」
言い返されたのが悔しいのか、まだ私の事を睨んでいる。
特に図体のデカい男、トードーが一番敵意を剥き出しにしている。
「オレはニーナと同意見だ。 この試験は1人でも欠けたらアウト。 もっと慎重になるべきだから、夜が明けてからの方が良い」
トンパはニッと笑うとその場に腰を下ろした。
さすがベテラン受験者。
他の者達も渋々だがその場に腰を下ろしていく。
今は待った方だ得策。
この試験、しんどいな……
即席のチームで強制的行動を共にしなければならない。 意見が割れて険悪になろうが関係ない。
ヒソカのチームはどうなってるんだろう。
性格悪くて人と上手く付き合える感じじゃないから少し心配だ。