第6章 協同×デ×競走
「ああ、それと、下へ着いたらその場で待機して下さい。 残りのチームが出発地点へ着いた時、ナビが自動的に起動しますので」
「わ、分かりました」
暗闇の中で歩き回るのは非常に危険だ。
故郷でも暗闇での狩りは禁じられている。
いくら目が慣れてもはっきりと見えるようになるわけではないし、気配だけで位置を把握すにも限界がある。
危険生物に気付くのが少しでも遅れたら命はない。
それにこのロープで降りるっていうのも不安だ。
他のみんなも私と同じ気持ちらしい。
足元に広がる闇を無言で見つめている。
しかし、やってみる前に諦めるのも良くない!
ロープをしっかり握り、覚悟を決める。
「下で待ってます!」
そう言い残し、ロープを伝ってスルスルと降りていく。
あれ、案外平気かもしれない。
あのエレベーターに比べると、だが。
「………」
にしても、今回の試験では死人が出るだろう。
「よっと。 にしても真っ暗だな。 確か電灯が……あった!」
次に降りてきたのはトンパだった。
ほかのメンバーも順調に降りてくる。
7人揃うと同時に飛行船は遠ざかっていった。
「作戦会議でもするか?」
「その方が良いかもな」
トンパの持っていた電灯のお陰で互いをはっきり視界に捉えることが可能になった。
暗闇からこちらを伺っている生物達からは丸見え状態にはなるが。
「ナビはオレが持つよ。 戦闘になったら役に立てねぇから、せめて道案内のサポートをさせてくれ。 迷うのは御免だろ?」
「なら戦闘は任せろ」
「頼むよ」
「戦闘?」
戦闘という言葉に少し引っかかった。
確かに危険動物と遭遇すれば戦闘になるが、それなら護衛って言わないだろうか。
動物に対して少々大袈裟だと思って疑問を口にしたら、トンパが表情を険しくした。
「オレ達が相手にするのはそこら辺にいる生き物だけじゃない。 合格できるのは最高10チーム、受験者同士の潰し合いがあるってわけさ。」
そういう事だったのか。
一次試験の時と同じ、試験課題をクリアするだけでなく周囲の状況、受験者達に注意を払わなくてはいけない。
「頼りにしてるぜ、 ニーナ」