第5章 試験×ノ×開始
協力しようと持ち掛けられて、裏切られたのだろうか。
檻はまだまだたくさんある。
自分も注意しなければ。 あのパックリ開いている檻の中へ吸い寄せられないように。
………って、あの裏切り者……トンパ…だったよね?
まさか、まさか。
飲み物をくれる親切なトンパがあんな事……するわけないよね?
そんな事を考えながらウサルーを探し回っていると、ヒソカがスッと現れた。
音も無く突然に。
「やあ❤︎」
「ぎゃッ!?」
当然驚く私。
「い、いきなり現れないでくれるかな!? 」
「? 結構前から視界に入ってたと思うんだけど……何か考え事でもしてたのかい?」
あのドロドロの裏切り劇を見てしまったので、それで気が付かなかったのかも。
ヒソカにちょっと申し訳ない気分になった。
「まあ、ちょっと……」
「そう。 考え事をするのも良いけど、早く捕まえないと失格になるよ♠︎」
なんとヒソカの手にはウサルーが!
「もう捕まえちゃったの!? どうやって!? え、えぇ!?」
ただ者ではないと薄々気付いてはいたが、母様達でさえ苦労するあのウサルーをあっさり。
「ヒ・ミ・ツ❤︎」
「……………」
くそっ!
教えてくれたって良いじゃない!
もう捕まえちゃってる自分は合格同然なんだから!
「私だって!」
あの見下す様な顔をいつかぶん殴ってやりたい。
悔しさで目頭が熱くなるのを感じながら、私はヒソカから全速力で離れた。
絶対にウサルー捕まえる!
ヒソカが使った方法を使わずに!
方法知らないけど。
まずウサルーを見つけなくては。
動き回るよりも、茂みに隠れて待つのが得策だ。
息を殺して待つ事数十分。
来た。
耳を小刻みに動かして周囲の気配を探っている。
追いかけて捕まえる以外方法はないが、ただ追いかけるだけでは100%捕獲は無理。
ので、ウサルーが逃げるであろう方向を察知し、その逃げ道を塞ぐ!
逃げ道を塞いでゲットだぜ!作戦でいくことに決めた。