第5章 試験×ノ×開始
あれからどれくらい経っただろうか。
周囲が騒がしくなっていた。
「んっ」
ヒソカのトランプタワー建設を眺めていたはずが、いつの間にか寝てしまった。
辺りを見渡すと、ここに到着した頃より随分と人が増えている。
「そろそろだね♣︎」
なにが?と聞く前に、前方から声を張り上げる男が現れた。
「これより、第286期ハンター試験を開始する! 一次試験担当官のアルトゥールだ!」
いよいよ試験が始まった。
他の受験者と同様に試験官の話に耳を傾ける。
「今から524名の受験者諸君にはある生き物を捕獲してもらう! 着いてこい!」
アルトゥールに案内された部屋は………森!?
正確には森が再現された部屋だ。
左右の壁には檻がずらりと並んでおり、中を除くと小型の獣が鼻をピクピクさせながらこちらの様子を伺っている。
「これって、ウサルー?」
「みたいだね」
ピンッと立った細長い耳に跳躍力が高そうな脚。
私の故郷にもいたな、ウサルー。
美味しいんだけど捕まえるのは至難の業だ。
身軽で小回りが利く上に聴力も良いので、少しでも物音を立てたら狩りを諦めるしかない。
なので、弓など遠距離から仕留めるのが1番確実だ。
「知ってる奴もいるだろう。 このウサルーが獲物だ。 今からルールを説明する」
⑴武器の使用禁止
⑵ウサルーを負傷させたら失格
⑶自分自身が檻に入れられたら失格
「以上だ! 制限時間は3時間! 捕獲した奴から俺の所に来い! それじゃぁ〜〜〜スタート!!」
アルトゥールの合図と共檻の扉が一斉に開かれた。
同時にウサルー達も勢いよく飛び出していく。
それにしても最後のルールが引っかかる。
なにか仕掛けでもあるのだろうか?
「あ! 言い忘れたが、ウサルーは300匹だけだ! 意味は分かるな? それと、檻は1度でも何かを入れたら試験終了まで開かないから注意しろよ〜〜〜!」
って事は、500人以上の受験者とウサルーを競う事になる。
急がなければ!
ヒソカはいつのまにか消えていた。
まずは周辺の様子を探ろうと歩いていると、
「この野郎ー! テメェよくもやってくれたなぁ!」
「!?」
何事だろうと声のした方を振り向けば、男が檻の中で喚いていた。
その前にはニヤニヤとしたり顔の男が立っている。
「ライバルは少ない方が良いんでな。 じゃ!」
「この裏切り者ー!!」