第1章 1
「さみしーって思うのがバカだっての!?」
「ちげーよバカ。
お前、今年より来年のが楽しくなるに決まってんだろ」
「なんでよ!あたしらもう卒業だよ!?
このメンツでいられんの、もう、最後じゃん!」
「また会えばいいじゃねえか。
それに、高校行ったらまた仲間増やそうぜ」
「……でも」
ぶすっと俯いて、納得いかなさそうな顔をする恋。こいつがこんな食い下がるのは珍しい。
……そんだけ、今を大切に思ってることに、ちょっと嬉しくなった。
「そんでもさみしきゃ、俺に言えよ。
飛んでって慰めてやるよ」
「……ぎゅーとちゅーもセット」
「おうよ。何なら今やってやろうか?」
目元が真っ赤な恋とのキスは、潮風の味がした。
そのまましばらく浜辺にいたら、低い音が聞こえてきた。
「……除夜の鐘だな」
「……そーだね」
「ここ聞こえるじゃん」
「……あれー?っかしーな」
マジで首ひねってる恋の顔がおかしくて、笑ってたら恋も笑い出して、二人で笑いながら神社に向かった。