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好きになっちゃったんだから

第1章 1


「はは、ごめんごめん。
や、でもさ、そういう感じなんだって。
割とみんなそういう感想じゃない?」
「こういうのに『みんな』の意見を出すのもナンセンスだけど……まあ、観月の存在感に食われ気味のところはあるね」
「……ま、いいわ。そういう取られ方してるんなら、とりあえずライバルは少なそうだし」
「……へぇ、めっちゃガチじゃん、よみ」
「ガチだよ」
だって、安心するじゃん。
あいつのいいとこをいいとこって思ってるのがあたしだけなら、あとはあたしががんばるだけだもん。
「……ちょっと赤澤を闇討ちしてくるよ」
「おいやめろ」
……過激派になりかけてるイヅル、好きでいてくれるのは嬉しいからちょっと落ち着けっつーの。

* * *

「おう、栄」
「よっ、赤澤。おつかれ」
今来たみたいなフリで、赤澤に声をかけた。
そのまま隣で歩くのが、ちょっとうきうきする。
「こないだはありがと。めっちゃ助かった」
「どういたしまして。ああいう時はもっと早く俺に言えよ。いつでも手伝うから」
「あんたはまたそーいうこと……もう」
こいつ、本気で言ってるからなぁ。
人のために動くのが好きって人は結構いるけど、赤澤ほどそれが根っから身についてる人をあたしは他に知らない。
あたしにはできない。やろうとも思わない。
そんなやつにも手を貸してくれる。きっと、言ったとおりに、いつでも。
それで、そういうのを苦にも思わないんだ。
……やっぱ、眩しいな。

「そんなの誰にでもほいほい言ってると、あっちこっちで女の子泣かすよ」
「そんな勘違いされるような男じゃないだろ、俺は」
「いやいやわかんないよー、とか言って欲しい?」
「栄が言ってくれるんならな」
「……っ、ちょっ」
……冗談かな。
冗談じゃ、ないといいな。
……冗談かどうか、聞けないや。
「こ、これ、お礼っ」
「え?おい、栄」
「じゃーねっ!」
恥ずかしいのが急に限界になったから、プレゼントだけ渡してダッシュで逃げた。
あーもー!顔があっつい!
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