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好きになっちゃったんだから

第1章 1


「赤澤」
「「えっ」」
好きなやつを聞かれたからあっさり答えたら、イヅルとシュウがシンクロした。
「何さその反応」
「何って……」
柳沢スタイル(つまりアヒル口)で文句を言うと、シュウはなんかモニョモニョ口ごもる。
だから何、って言おうとしたところに、イヅルがさらっと口を挟んでくる。
「意外だったんだよ。
ま、私としては私のよみがアレに取られるのが気に食わないのもあるけども、それはそれとして。
赤澤って、彼、よみの好みのタイプじゃないだろう?」
「そうだよ!よみ、爽やか系イケメンがタイプって言ってなかった!?
なんだっけ、氷帝のテニス部の……」
「ああ、背の大きい2年の子?」
「そう、名前何つったっけ……まあいーや、あの子好みって言ってたじゃん。全然方向性違くね!?」
「声でかいんですけど」
「あ、ごめん」
とりあえずシュウに一言言っておく。あたしの好みをでかい声で言いふらさないでほしい。これはパフェおごらせなくちゃだわー。
「別に、理想の顔と現実は別っしょ。イヅルじゃあるまいし」
「な、何を言うの、よみ」
あたしだけからかわれるのもなんだし、イヅルをわざとらしくからかってみる。観月の話振るとわかりやすく動揺するの、ほんとイヅルらしくなくて可愛い。
「はいはい乙女乙女。だいたいシュウもそうじゃない?アレが理想なん?」
「アレって、そりゃイケメンじゃないけどアイツだってかわい……って何言わせんだよ!」
「え、ちょっと聞いたイヅル」
「聞いたけど、話を逸らそうとしてもそうはいかないよ」
「ちぇ」
このままごまかしたかったけど、やっぱうまくいかない。イヅル鋭いからなー。

「で」
「えー……」
ちょっと、まだ恥ずかしさが残るので。直接なことを答えるのはやめておこう、と思った。
「んー。あんたたちから見てあいつってどんなやつ?」
「オッサン」
「中間管理職」
「歯に衣着せろ、せめて」
こいつら。
即答する二人に、青筋が立ちそうになる。
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