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とうらぶ夢倉庫(長編館)

第16章 報告(後編) (☆)








「………それで? 何か分かったのかな?」






政府のとある薄暗い部屋。
山姥切長義が入って来て、尋ねた。





「そうだね、あの霊力の高さ…確かに人の常識を超えているようだ。それに、兄である彼とも霊力の質が少し違うように思える。ふふ…実に興味深い。やはりどうにかして彼女の血を…」

「先生がさっきからこんな調子でこっちは困ってるんだが」





怪しい笑みを浮かべて楽しそうにする南海太郎朝尊と。
恨めしそうに長義を眺める肥前忠弘。
長義はその様子にやれやれ、と肩をすくめ近くの椅子に腰掛けた。



「確かに彼女は稀有な存在だと思うが…、上の連中は一体何を考えているのやら…」



この世界には、数えきれない程の審神者と、それに伴う本丸がある。
それなのに。上の連中はやけに彼女に関心を向けている気がする。
関心、というより、何かある気がしてならない。
我々刀剣男士には詳細を伏せられている為、憶測でしかないのだが。




「あー…そういや、水心子があの審神者の事で上の連中に何か命令されてたらしいぜ」

「おや、お師匠殿が」

「さっき水心子と清磨が話してるところを通りすがったんだけどよ、なんか水心子の奴やけに思い詰めてる感じだったし、他に方法はないのだろうか、なんて言ってたし…」

「彼がそんな事を…」




水心子正秀は真面目な刀だ。
命令に異議を唱えるような奴じゃない。
一体どんな命令を………











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「さっきから随分熱心に彼女を見てるね。一目惚れでもしちゃった??」

「んなっ!!????」





政府内、とある廊下にて。





「きっ…清磨!! 馬鹿を言うな、彼女がさっき話した審神者であって別に僕は……っ!!!」

「ふふ、分かってるよ、水心子の緊張を解そうと思って♪」

「余計に緊張しちゃうだろ…」




へなへな~…っとしゃがみ込む、水心子と呼ばれた少年と。
柔らかい笑みの清磨と呼ばれた少年。
二人は廊下から、とある審神者と、その連れの山姥切国広を見ていた。





「……なぁ、清磨…」

「…大丈夫だよ水心子。君がそんな顔する必要ないよ」

「え?」









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