第13章 嫉妬 ★
「それにしても、清光が中傷とはなぁw」
「うーるーさーいーってばー」
戦闘に勝利し本丸に帰還したのだが、
珍しく清光くんが中傷を負ってしまった。
それをからかう兼定くん。
非常に楽しそうである。
「すまない清光くん、つい前方の敵にばかり気を取られてしまって…」
「主が謝る事じゃないでしょ?」
「だが…」
「もぉ、そんな顔しないでよ、これくらいすぐ直るってば」
「相変わらず仲が良いですね、加州さんと主さん」
「……」
「…大和守さん?」
「えっ、あ、うん…そう、だね…」
「…?」
「どうした大和守、顔色が良くねぇみたいだが?」
「え…あ…昨日、あんまり寝れなかったからかな…。清光が手入れの間、ちょっと寝て来ようかな」
「それが良さそうだな」
一人静かに部屋を出て行く安定くんを見掛け、少しばかり違和感を感じた。
何だか様子がおかしいような…。
先程、安定くんと話していた堀川くんと薬研くんに話を聞いてみると、寝不足とのことだったが…
やはり気になるので、後程、安定くんの部屋を訪ねてみる事にした。
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「安定くん、少し良いだろうか?」
「主!?……えと、どうぞ…」
布団を敷いて、仮眠を取る準備をしていたのだろう。
薄暗い部屋に招いて貰い、腰を落とした。
「主、どうしたの…? いつもならこれから…」
「あぁ、内番や遠征は皆に任せた。安定くんの様子が少し気になってな…。具合はどうだ?」
「別に、ただの寝不足だよ…?」
「そうか、なら良いのだが…キミがただの寝不足というのも不思議でな、いつも良く寝ているだろう?」
「むぅ…それ寝坊助って言ってる?」
「ふふ、眠りが深い事は良い事だ。…もし、何か不安事があって眠れなかったのならば、話くらいは聞いてやれるかと思ってな。不要なら…今日1日、何も心配せずゆっくり休むといい」
「……主……。でも、これは…」
「ん??」
伏せてしまった安定くんの顔を覗くと
とても辛そうな顔をしていた
「何か…あるようだな」
「ダメだよ…これは…ダメなんだ…主ごめん…」
「安定くん?」
「だめ…近付かないで…」
「だが顔色が…」
「……っ!!!」