第11章 遠征
それから、何時間経っただろうか。
「ーっ!!?」
また、昼間の妖の気配を感じた。
今剣くんと石切丸殿が寝静まっている事を確認して、
私はそっと宿を出た
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気配を頼りに妖を追い、山に入った。
少し開けた所に出た所で、妖の姿を確認した。
禍々しい気を纏っている。
しかし、そんなに強い妖でもない。
この程度なら造作も無い。
「さぁ…来い…っ!!」
向かって来る妖に、得意の陰陽術(威力中程度)の詠唱を始めた。
「な…、に…っ!?」
いつもならそれで終わりなのだが
私の術は簡単に弾かれてしまう。
驚き怯んだ所に妖の攻撃を受け、頬を掠めた。
つぅ…と血が一筋伝う。
「くっ…、」
次の攻撃に備えようと対峙した所で
「…無様よの。」
「!?」
背後から聞こえた透き通るような声と共に、陰陽術が対峙した妖を討ち滅ぼした。
「あ…なた…、は…?」
月の逆光でその顔はよく見えなかったが
巫女服を纏っている事は分かった。
「話なら後じゃ。付いて参れ」
それだけ言い残し淡々と歩みを進める女性に取り残されないよう、その後を追った。
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「ここは…?」
「見れば分かるであろう? 神社じゃ。」
「そう、だが…」
山奥にひっそりと佇む神社。
中に通され、明かりが点くと
その女性は、自分とそっくりな容姿をしていた。
「貴女は…!?」
「驚くのも無理は無かろう。余も先程驚いたのじゃからな。ソナタは…未来から来たのじゃろう?」
「!?」
「やはりな。占い通りじゃ」
驚いた、と言っているが、淡々と話す女性。
その後の話を聞くと、この時代の、この京の都の巫女姫様らしい。
それが何故こんな山奥の神社で1人過ごしているのか気にはなったが、自分も相当"普通ではない"為、詮索しないことにした。
決して面倒だからスルーした、とかそういうアレではない。
そういうアレでは無いぞ。
「それにしても。未来から時空を越える力がある者が、あのザマとはな」
「…返す言葉も御座いません…」