第5章 内番
「おや、二人ともどうしたんだい?」
今度は洗濯場へとやって来た。
皆の洗濯物が綺麗に干され、風に靡いている。
「歌仙さん、こんなに洗濯物を任せてしまってすまない。何か手伝う事は無いだろうか?」
「構わないよ、前はこの5倍程の量を二人で行っていたからね、この程度は造作も無い」
兄様の刀剣男士達の家事力の高さには驚くばかりである。
兄様が家事が出来ない分、こうなったのだろうか…
「そんな事より、主、その羽織だけど…」
「あぁ。兄様の羽織だ」
「勿論覚えるよ。しかし、流石に主には大き過ぎて雅じゃないね…」
「そうだろうか、これはこれで…良い、と俺は思うが」
「主、長谷部が変な気を起こす前に僕がサイズを直しておこう」
「なっ!?」
「歌仙さんは裁縫も出来るのか…素晴らしいな」
「まぁね。今日中には終わらせるよ」
「では、お願いしたい。」
「あぁ…」
何故か長谷部くんの元気が無くなってしまったように見えるが、気のせいだろうか?
「あれぇ? ふたりともどうしたんです??」
「今剣、珍しく真面目にしているな」
「しつれいですね! ぼくだってちゃんとやりますよ!!」
「へぇ。前に案内して貰った時はちゃんと見なかったのだが、立派な馬がいるのだな」
「あるじさま、のってみます??」
「こら、主に怪我などさせたら…!!」
「あぁ、問題ない。神事で毎年、流鏑馬などを行っていたからな。馬には慣れている」
「え」
「やぶさめって、うまにのって、ゆみでやをはなつやつですよね! ぼくみてみたいです!!」
「そうか、流石に弓はこちらへ持って来なかったからな…、いつか機会があれば披露しよう」
「わーい♪」
「主が流鏑馬を…なんと神々しい…///」
「長谷部くん?」
「あるじさま、だめです、はせべにちかづいちゃだめですよ。あぶないので。」
「失敬な」
「二人は仲が良いのだな」
「たぶんちがうとおもいます」
「よお大将、どうした? デートか?」
「主さんやめた方がいいよ危ないから」
「失敬な」
「今、内番とはどのような事をするのか、長谷部くんに案内して貰っていたんだ」
「なぁーんだ、良かった、安心♪」
「どういう意味だ」
「まぁ、落ち着けよ長谷部の旦那」
二人が水をやっていた畑には
青々とした葉が元気に育っていた。