第5章 内番
「主様、仲間も増えた事ですし、そろそろ皆に内番を任せてみては??」
「こんのすけ、内番…とは…?」
「主に畑の手入れ、馬小屋のお世話、刀剣男士同士の手合わせ…それから料理や洗濯などの家事もですね」
「家事なら私が…」
やろう、と言おうと思ったのだが
スッと私の前にひざまづく一振り
「主、主のお世話係はこの俺! 長谷部にお任せ下さい。長谷部が全身全霊、圧倒的責任感をもって遂行致しましょう」
「お世話係…?」
「近侍、というもので御座います。主様の身の回りのお世話ですね」
「いや、別に世話など…」
「いいえ!! 先代の主のお世話もこの長谷部が務めておりました!! 妹であられる主のお世話も俺の役目…生まれてきた意味なのです!!」
「はぁ…」
「出た長谷部のアレ」
「あはは、長谷部くんらしいね」
「相変わらずの通常運転だな」
「雅じゃないね…」
「おい、聞こえてるぞお前ら」
新しく来た仲間達もなかなかに個性的なようだ
「えっと…へし切…くん?」
「長谷部、とお呼びください」
「では長谷部くん、近侍、とやらをお願い出来るだろうか?」
「お任せ下さい主!!」
「じゃあ、料理は僕がするよ」
「僕は洗濯に向かうとしよう」
「安定、手合わせ、するよね」
「うん、手加減無しだからね」
「じゃあ…薬研兄さん、一緒に畑に行かない??」
「あぁ、薬草の出来具合も気になるしな」
「じゃあぼくはおうまさんとあそんできますね~」
「おい!お前ら!! 勝手に決めるな!! 内番を決めるのは主の仕事だぞ!!」
「自分だって勝手に近侍決めたじゃん」
「うぐっ…」
「はは、私はまだ内番、とやらが良く分からぬから、こうやって自発的に言い出してくれるのは有難いよ」
「主…あなたってお人は…まるで聖母のような…」
「よし、みんな、初めてくれ!!」
「おお、あるじさま、みごとなするーですね!」
「この短時間に長谷部の扱い方をマスターするとは、やるな…」
「くっ、お前ら!!早く取り掛かれ!!」
それぞれに、それぞれの場所へ歩き出した
-主部屋-
「主!! 何処へ行かれるのです!?」
「え、いや…その…」
「いけませんよ主、まだお読みになっていない書物がこれだけあるのですからね!!」
「うぐ…」
「審神者になられた以上、これらは覚えて頂かなくてはいけません」
