第3章 小さな手をいつまでも…
「ねぇ、秀吉さん…ひとつ聞いてもいい?」
秀吉「ん?どうした?」
仕立て終えた着物を配り終わった秀吉とは、が食べたいと言っていた甘味屋に立ち寄っていた。
草餅を一つ食べ終わり、お茶を啜るは配達前に感じていた疑問をぶつける。
「あのね、気のせいかもしれないんだけど…最近、みんな忙しそうにしてるでしょ?…何か準備してるみたいだし…戦が始まるのかなって…?」
秀吉「何でそう思うんだ?」
(時々、は聡い所があるから気を付けておかないとな…)
秀吉は不安そうな顔をするにサプライズがバレないように、あくまでも冷静に聞き返す。
「だって、三成くんと光秀さんは最近二人でよく書庫に行ってるし、家康はこの間薬草を取りに行ってたし…政宗は政宗で、いつも以上に厨房に行ってるみたいだし…信長様は……いつも通りのような気もするけど」
信長もまた、ピクニックに向けて新しい酒を準備しているのだが、使者に命じているため、信長自身が動くことは余りなかったのだ。
秀吉「そうだな…俺が言えることは、戦じゃないってことだ。
もし戦が近いなら、こんな風にお前と茶を飲んだり秋祭りの準備で町が賑わうことは無いからな」
「あ、そっか……それもそうだよね」
秀吉「そうだ。だからお前が気にすることは何もないんだぞ?」
秀吉の言葉に心底安堵した様子のの頭を優しく撫でる。
「…ふふっ、秀吉さんって頭撫でるの好きだよね?」
秀吉「ん?そうか?お前が可愛いからだろうな」
「え…………」
町娘1「あっ!秀吉様よ!!」
秀吉「ん?何だ?」
町娘2「こんなところでお逢い出来るなんて、何て幸運なんでしょう!!」
「わあぁ……」
秀吉を見付けた町娘たちが一気に秀吉を取り囲むようにして、きゃあきゃあと黄色い声をあげている。
そして秀吉も、その性分故に町娘一人ずつに返事をして行くのだった。
町娘3「私ともお茶してくださいよ、秀吉様~」
秀吉「あぁ、そのうちに、な?」
(まずいな…これ以上町娘達と話してるとが退屈してしまう)