第11章 ⭐ ガールズトーク⭐
「そうかなぁ……秀吉さんは皆にも優しいから同じだよ?」
針子仲間「でも、様は特別な感じがしますよ?」
針子仲間「あっわかるわ、それ!私たちにもお優しい秀吉様だけど、何か違うのよねー。様を好いているんじゃないかしら?!」
針子仲間の一人が一際声を大きくすると、他の針子仲間達も納得したように頷く。
「そっ!そんなことないよ!!私は秀吉さんの妹のような存在だからそう映って見えるだけだよ」
針子仲間「え~?そうでしょうか?他の方々も様を見る目は違うように思いますよー?」
「もー!気のせいだってば~」
は身のやり場に困りながらも、こうした他愛のないガールズトークが楽しく、頬を染めながら話に花を咲かせていく。
針子仲間「うふふっ、様はお気に入りの殿方はいらっしゃるのですか?」
「え……っ」
(それって、好きな人はいるの?ってことだよね)
針子仲間「私はやっぱり秀吉様かしら」
針子仲間「政宗様も素敵よね」
針子仲間「家康様の雰囲気も素敵だと思わない?」
針子仲間「あら、雰囲気なら光秀様のあの危険な感じも素敵よ」
針子仲間「三成様の朗らかな笑顔も癒されるわー」
きゃあきゃあと頬を染めながら話す針子仲間の勢いに圧されながらも、
「ちなみに、信長様は?」
唯一、名前の出なかった信長のことが胸に引っ掛かってしまい、針子仲間達に問い返す。
針子仲間「信長様も素敵な御方ですが、近寄りがたいと言うか…」
針子仲間「畏れ多い、と言うような感じですね。安土城の城主でもありますから」
「そっかー。結構ああ見えて優しいよ?この髪も、信長様が今朝結ってくれたの」
ちょんちょん、と自分の髪を指差すと針子仲間達はあからさまに驚いた表情を向けてくる。
(ん?何か変なこと言った…?)
針子仲間「失礼ですが…が信長様にお願いされたのですか?」
「ううん、信長様が結わせろって仰ったの」
針子仲間達「えええーーーっ?!」
つんざめくような声が部屋中に響き渡るのと同時に、スパーーーンッと針子部屋の襖が開かれると、話の主役だった信長が立っていた。