第11章 ⭐ ガールズトーク⭐
安土城へ戻ったは針子仲間に頼まれた反物を届けるため、針子部屋へ向かう。
針子仲間「お帰りなさいませ、様」
針子仲間「様にお使いをお願いしてしまってすみません。次は私たちが行くので遠慮しないでくださいね」
「ただいまー。私も見たい反物があったから気にしないでね?また必要なものがあったら言ってね」
昼餉までまだ少し時間があり、は皆に反物を手渡すと自分の席へ腰を下ろし買ってきた反物を広げる。
暫く他愛のない話をしながら作業をしていると、部屋の襖が開く音が聞こえ、秀吉が顔を出す。
秀吉「お帰り、。よしよし。ちゃーんと昼餉前に戻ってきたみたいだな。昼餉の用意ができたらまた呼びに来る」
「う、うん。ただいま、秀吉さん」
秀吉は満足そうに微笑みながらに近付き、信長が結った髪を崩さないようにぽんっと軽く頭を撫で、針子部屋から出ていく。
(何、だったの……?)
訳がわからず、撫でられた頭を擦りながら首を傾げると、針子仲間の一人がクスリと笑う。
針子仲間「秀吉様、様は帰ってきたかと何度もお顔を出されていたんですよ」
針子仲間「まだ帰ってきてませんってお伝えしたら、とても寂しそうなお顔で戻られて…」
針子仲間「そうそう、信長様も何度かいらしたわよね?」
「えっ!信長様まで?!」
(秀吉さんは何となく想像つくけど、信長様は意外だな…)
針子仲間「はい。秀吉様のように声はかけられませんでしたが、部屋の中を見渡していかれてすぐに戻られました」
針子仲間「様は本当に信長様達に大切にされているのですね」