第10章 触れたくて………
「この時代の戦国武将ってイケメンだし器用だよね~…」
秀吉に髪を結ってもらったは家康の部屋の襖の前に立ち、ボソッと呟く。
家康「『いけめん』って何?」
(わっ……)
前から突然襖が開き、声がしたかと思うと、家康が立っていた。
「家康ごめんね、遅くなって…イケメンって、かっこいいっていう意味!」
少し頬を染めながら家康に駆け寄ると、家康は軟膏の容器を差し出す。
家康「ふぅん…はい、これ。目の下のクマに塗れば多少は良くなるはずだから」
「ありがとう!早速戻って付けるね」
は家康から容器を受け取ろうと手を伸ばすが、家康は容器を持っている手を上にあげる。
(あれ…?)
家康「…あのさ」
家康はちらりとと視線を向けるが、すぐに逸らしてしまう。
「?どうしたの?」
家康「俺にもあんたの髪の毛、結わせてくれるならこれあげる。駄目ならあげない」
「…っ!」
突然の出来事と家康からの条件に驚くだったが、すぐにその頬は緩み、
「家康も結ってくれるの?ありがとう!」
家康「明日は信長様みたいだけど、その次は俺だからね。…わかった?」
家康は視線をへ戻し問いかける。
「うん!わかった」
は嬉しそうに頷くと、家康から容器を受け取り、パタパタと部屋へと戻っていく。
家康「あんたのこと、絶対あの人たちよりも喜ばせるから」
家康は去っていくの後ろ姿を見据えながら静かにその決意を呟くのだった。
(安土の武将たちに日替わりで髪の毛を結ってもらえるなんてすごく貴重な体験だよね!)
「ふふふっ佐助君が聞いたら羨ましがるだろうな…!」
は嬉しそうに部屋へ戻り、家康からもらった塗り薬を目元に塗っていくのだった。