第10章 触れたくて………
家康は呆れたような口調で秀吉に視線を向ける。
「家康の部屋に行くの、秀吉さんに髪を結ってもらってからでもいい?」
は少し申し訳なさそうに家康に尋ねると、
家康「……別に良いけど。あまり遅くなったら薬あげないからね」
「うん、わかった」
朝餉を食べ終えたが立ち上がろうとすると、不意に襖が開き甘味を持った政宗が入ってくる。
政宗「ん?せっかく甘味を持ってきてやったってのに食わずに戻るのか?」
「食べる!!秀吉さん、いい?」
秀吉「お前…本当に政宗の甘味には弱いな」
呆れたように苦笑しながらお茶を淹れる。
政宗はに甘味の饅頭を渡すと、
政宗「何で秀吉の許しがいるんだ?……ん?お前、夜更かししたな?」
「……それ、言っちゃ駄目。お饅頭食べて、秀吉さんに髪を結ってもらったら家康に塗り薬もらうから大丈夫だもん」
政宗「ほーお。やきもちか?秀吉」
ニヤリと不敵な笑みを秀吉に向け、挑発するような口調で告げる。
秀吉「を甘やかすのは俺の役だからな。当然のことだ」
信長「ならば、明日はこの俺が貴様の髪を結ってやる。有り難く思え」
「えっ!!信長様が、ですか!?」
信長「何だ。俺に髪を結われるのは拒むつもりか、貴様」
三成「では、信長様の次はぜひ私が……」
武将達「お前(貴様)は止めておけ」
三成「おや??何故でしょう?」
秀吉「お前はまず、自分の髪の寝癖を直すことに専念しろ」
家康「三成に結われたんじゃ収まりがつかなくなるのは目に見えてる」
三成「ああ、それもそうですね」
「ふふふっ…あはははっ」
ころころと鈴の鳴るような声で楽しそうに笑うにつられたように、武将達も思わず笑みを溢すのだった。
そして、朝餉と甘味を食べ終えた武将達は広間を後にし、それぞれの公務に向かい、は秀吉と共にの部屋へ行き、政宗のときと同様に縁側に腰を掛け髪を結ってもらうのだった。