第9章 囲碁勝負ーーーーそして願い
「あ、あの…えーっと…?」
秀吉「信長様の馬で寝ていたんだ。馬の迎えも来たことだし下りて中に入るぞ」
秀吉達は乗っていた馬から華麗に下りると、近付いてきた家臣達に手綱を渡す。
(そっか…私、あのまま寝ちゃったんだ)
「うん。…信長様、すみません。信長様に凭れかかってしまったみたいで」
信長「構わん。貴様の抱き心地は悪くなかった」
信長がふっと口角を上げると、はその瞳を見開き、顔を染め上げる。
秀吉「全く、なかなか肝の据わった奴だな、お前は。ほら、馬から落ちると悪いから来い」
そう言って秀吉はにっこりと笑い、に向き合って腕を広げる。
(えっ?抱っこして下ろすってこと?!)
秀吉「お前が下りないと信長様が下りられないだろ?」
「じっ、自分で下りられるよ!!結構高さはあるけど、ゆっくり下りれば大丈夫!」
秀吉「駄ー目ーだ。お前は危なっかしいからな。寝惚けて落馬でもしたら大変だ。兄の言うことが聞けないのか?」
「うっ……じゃあ…お願いします」
はおずおずと秀吉に両手を伸ばし上体を傾けると、ひょいと軽々と抱え上げられ秀吉の腕に抱かれる。
家康「兄としての立場を存分に生かしてますね、秀吉さん」
政宗「俺は兄じゃなくて、こいつの男として抱きたいけどな」
信長「秀吉、この俺に遠慮が無くなってきたな」
ひらりと馬から下り、秀吉の方へ視線を送る。
秀吉「滅相もございません!信長様!!
…ただ、こいつは何か、放っとけないんです」
光秀「…役得なのか損なのかよく分からない立場だな、秀吉」
「あのー…そろそろ下ろして?秀吉さん。大人になっても抱っこされたままだと恥ずかしいよ」
は秀吉の肩に手を乗せ、上体を持ち上げると、秀吉と視線を合わせる。
秀吉「……っそうだな、すまん」
(まずい…このまま上気した顔で見下ろされると妹として見れなくなりそうだ)
そっとの足を地面につけるとその身体を解放する。
政宗「今の顔、今度は俺だけに見せろよ」
政宗は不敵な笑みを浮かべると、の頭に手を置く。
光秀「小娘にしてはなかなか女の顔だったぞ」
「私は最初から小娘じゃなくて女です!!」