第8章 ピクニックへ行こう!
信長「俺たちも城へ帰るぞ」
謙信達の姿が見えなくなったのを確認すると、踵を返し馬の方へ歩いていく。
他の武将達も信長に続き纏めた荷物を抱え馬の方へ歩いていくが、は一人その場に立ち尽くし、謙信達が去っていった道を静かに見据えていた。
(いつか、安土のみんなと春日山城に遊びに行ける日が来るといいな…)
信長「、呆けてないで帰るぞ」
「あ、はい!」
馬に乗った信長に背後から呼ばれ、ハッとしたように振り返ると信長が馬上から手を差し出していた。
は来たときと同様に手を重ねるとその身体をふわりと持ち上げられ馬の背に乗る。
信長は、の小さな身体を引き寄せ落ちないように片腕で固定すると、手綱を操りゆっくりと来た道を他の武将達と戻って行く。
は、背中から伝わってくる心地よい温度と馬の歩く規則的な揺れで、気付けば微睡みへ誘われそうになりながらも何とか起きていようと、ごしごしと目を擦る。
(みんなの方が疲れてるんだし、私だけ寝ちゃうわけにはいかない)
信長は、今にも閉じそうな瞳を必死に開けるの顔を肩越しから覗き込み、その手をやんわりと掴むと、その腕ごと身体を包み込む。
信長「貴様も、今日のために頑張っていたからな。城に着くまで少し眠れ」
慈しむように優しい音色で囁くと、ふんわりと抱き締める。
「ありがとうございます。でも、信長様達の方がお疲れなのに、私だけ寝るなんて申し訳ないです…」
は頭を横に振ると、前を見据える。
信長「全く貴様という女は…まぁ良い。眠りたくなったら俺に凭れるが良い」
信長はふっと小さく笑い、の身体をいつ眠っても大丈夫なように安定させる。
しばらくは目を擦ったり頭を左右に振って起きていようと足掻いていただったが、とうとう眠気と信長の体温の心地よさが勝り、ゆっくりと信長の逞しい胸にその身体を預けるのだった。
信長「…寝たか。強情なじゃじゃ馬は手に余るものだな」
信長もまた、寒くないようにとその小さな身体を包み込むと、愛しそうに髪に頬を埋める。
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