第7章 最終準備
家康はそう言うと、血が滲み出ているの指を口元へと運び、傷口を吸う。
「いっ、家康っ!?」
家康の思いがけない行動には、かーっと顔を紅く染め、狼狽える
家康「水とか持ってきてないんだから傷口を洗えないんだし我慢して。ほら、もう薬草集まったから城に帰るよ」
吸った血を口からぷっと吐き出すと、そのまま手を繋ぐ。
「えっ……と、あの…家康、これは…」
家康「…勘違いしないでくれる?こけられると迷惑だから手を貸してあげるだけ」
ふぃっと顔を反らす家康は少し顔を赤らめているのだった。
(家康、照れてる……確かにこれ以上迷惑はかけられないし…)
「家康、ごめんね。迷惑かけないって言ったのに結局家康に迷惑かけちゃった」
は、シュンとしながら家康の手を握る。
家康「別に謝らなくていい。……それに…俺も楽しくなかった訳じゃないし……」
「ほんと?!じゃあ次からはもっと薬草のこと勉強して家康の手伝いが出来るようにするね!」
家康「には無理だと思うけど」
「そんなことないよ!家康が教えてくれるんでしょ?名前だって初めてちゃんと呼んでくれたし!」
家康「は……?何それ。意味わかんない」
「だっていつも、あんたとしか呼んでくれないから、名前呼んでくれて嬉しいんだもん!」
ニコニコしながら家康を見るの顔に家康は少し表情を緩める。
家康「バカじゃない?とりあえず、帰ったら綺麗に洗って薬塗るから。わかった?」
「うん!わかった!」
家康はの歩幅に自分の歩幅を合わせながら、ゆっくりと城への道を帰っていく。
ーーねえ、
今だけは
信長様やみんなのあんたじゃなくて
俺だけのものにしてもいいよね?ーー
家康は自分の手を握る小さな手をきゅっと握り返すのだった。