第7章 最終準備
「ん?あれは…」
安土城の廊下を歩いていると、門の方へ向かう人影を見つけたは声をかける。
「おぉ~い!家康ー!」
家康「おぉ~いって…どこの馴れ馴れしい親父に呼ばれたかと思った」
家康は不機嫌そうにゆっくりと振り向き、呆れたように立ち止まる。
「親父って……そんなに変じゃなかったでしょ?ねえねえ、どこか行くの?」
家康「薬草採りに行くだけだけど、何?」
「薬草?家康、前にも採りに行ってたよね?」
ピクニックの計画が密かに進められていたとき、家康が薬草を採りに行くのをは戦が始まるのではと感じ、秀吉に相談していた。
(あのときは心配だったけど、ピクニックのために準備してたってわかったから安心したんだよね)
家康「あんたの思い付きで行くことになった『ぴくにっく』ってやつのせいで、薬草が少なくなったから補充する」
「思い付きって訳じゃないけど、そんなに薬草って使うものなの?」
家康「怪我をするのが得意な誰かさんのせい。毎日のように使うから、いくらあっても足りない」
「やだなぁ、さすがに毎日は怪我しないよー」
家康「へえ、一応自覚はあるんだ」
「時々だけどね!あ、じゃあ私も一緒に着いて行ってもいい?」
家康「本気…?まぁ、邪魔しないっていうなら着いてくれば?」
家康はふぃっと顔を反らせ、歩き始める。
「やったぁ!邪魔なんてしないよー」
は嬉しそうにニコニコと笑顔で家康の後を着いていく。
ーーーーーー
「家康ー?これはー?!」
家康「それはただの草」
「んー…じゃあこれは?」
は手当たり次第に草を摘んでいく。
家康「……あんたさ、手当たり次第に草摘むのやめてよね。中には棘があるものも…」
「痛っ!」
家康「はぁ…言ってるそばから…指見せて。どの草で切ったの?」
家康が気を付けるように伝える前に、草で指を切ってしまったは指を押さえながら家康に見せると、草を指差す。
「あの草…ごめんね、家康」
家康「あの草なら毒はないから心配しなくていいよ」