第6章 春日山城勢、安土へーーー
佐助「幸村、顔赤いけど熱でも出た?」
信玄「幸ー、先に宿へ戻って休んでても良いんだぞー」
幸村「うっせーです。赤くなってなんかねー」
佐助と信玄の言葉にふいっとから顔を反らす。
信玄「初々しいなぁ、幸は」
信玄は愉しそうに笑いながら幸村の頭をぐりぐり撫で回す。
「でも、朝晩は冷えてきたから風邪引かないようにね?折角のピクニック、幸村だけお留守番になっちゃうよ?」
幸村「ガキ扱いすんな。お前と違って俺は鍛えてっから簡単に風邪なんか引かねーよ」
「ふーん、じゃ、風邪引いたら思いっきり子供扱いするからね!」
幸村「上等だ」
と幸村は楽しそうに笑い合う。
謙信「ならば、俺が直々に鍛練つけてやる。来い、幸村、佐助」
謙信は色違いの瞳を細め、愉しそうに笑いながら、姫鶴の鞘に手をかける。
幸村「冗談だろ?勘弁してくれ!、またな!」
佐助「俺もピクニックを迎える前にしごかれるのはゴメンだな…じゃ、さん、明後日また会おう」
佐助と幸村は急いで謙信から逃げるようにその場から走り去る。
謙信「待て!どこへ行く!?逃がしはせんぞ!」
二人の後を謙信も追いかけ、信玄とがその場に取り残されてしまうのだった。
「行っちゃった…」
信玄「そーだな。幸のやつ、片付けもしないで行くなんて、全く困ったやつだ」
「ふふふっ私も手伝いますね」
そう言いながら店を片付け始める信玄にはくすくす笑いながら小物を纏めていく。
信玄「、君には感謝してるよ。君に出逢う前の俺たちなら機会さえあれば信長の首を狙っていた」
信玄は手を止めることなく穏やかに話を続け、も、静かに話に耳を傾けながら片付けを進めていく。
信玄「だが、刀を振るうだけが戦いじゃないと幸に言われたよ。あいつが少しずつ成長していけたのはのお陰だろう」
「?…私、ですか?何もしてませんよ?」
店を片付け終わり、信玄は空いた方の手での頭にぽんっと大きな手を乗せ、にっこりと笑う。
信玄「綺麗な心の、そのままの君だからだよ」
「え…………」
信玄「ますます本気で口説いてしまいそうだ」