第6章 時をかけあう恋~呼び名~
「(………え?)」
なんでここで、家康さんが登場するのか自分でもわからず、また固まった私。
そして、家康さんと出会ってから今日までのことを思い返す。
普段は家康さん、無愛想で言葉も少ないけど……
でも、買い物に一緒に行った時とかは、荷物もさりげなく持ってくれて優しいし、この前も危ないところを助けてもらったし……
でも、出会ってすぐに裸を見られて、気まずくなって…
まぁ、この件については解決はしたけど……
でも、そのときに家康さんに「私の身体に興味ない」とか言ってたし……
そんなことを思い返していると……
「??陽菜ちゃ~ん?」
「お~い。どうしたの~?」
何も発せず、脳内で家康さんのことを思い返していた私に、二人は不思議そうに首を傾げて、私の顔の前で手を上下に振っているのが見えて、そこで我に返る。
「これは絶対恋じゃない!!!」
「「!?」」
バンっ!と力いっぱい机を叩いて、驚いた二人に、やっぱり恋ではないことを否定する。
「そりゃ、危ないところを助けてくれたし、ご飯も美味しいって食べてくれるし、根は優しい人だから、その優しさが嬉しくてたまに胸の奥がギューってなるけど………」
「「…………」」
「でもでも!あの人、私に興味ないって言ってたし!!」
「「…………」」
「だからこれは恋じゃない!!」
最後にもう一度、机をバンっ!と叩いて、二人の見解を否定する。
すると二人は、目をパチパチとさせて、呆気にとられている様子。