第4章 時をかけあう恋~ときめく想い~
「何、ボーっとしてるの。行くよ。」
「わっ!?」
コツンと、額を軽く小突くと、家康さんは先に歩きはじめる。
慌てて私もあとを追いかけ、家康さんの横に並ぶ。
「あ、あのっ!助けてくれて、ありがとうございます!」
そういえばお礼を言っていないことを思い出して、助けてもらったお礼を言う。
「別に。これからは気をつけなよ。」
「は、はいっ」
買い物のときと同じような言い方で注意をされ、私達は家までの道のりを歩いていく。
「(……なんでだろ…鼓動、速いまま………)」
買い物してたときは一瞬だったし
道場のときはその後の試合に集中してたから、いつの間にか消えてたし…
だけど、今はなんでか鼓動が落ち着かない。
「(……そろそろ落ち着いてもいいのに……なんで?)」
未だに落ち着かない鼓動。また胸元をギュウっと掴んでいると
「珍しいね。あんたが黙ってるの」
家康さんの声が聞こえ、パッと顔をあげると
「っ!?」
家康さんは身体を少し屈めて、覗きこむように見ていたのか、思いの外、家康さんとの顔の距離が近かった。