第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
陽菜が母親と夕飯作りをしている時、佐助の部屋で、家康と佐助が話し合っていた。
「予想外のこと?」
「はい。今日現れた『ワームホール』は、俺の計算の座標には全く合っていないんです。なぜ、突然現れたのかは謎ですが……」
「そう……で、またそれは現れるの?」
「今回現れたことによって少しだけ周期が狂いましたが、計算してみたら、おおよそ3ヶ月後に、もう一度現れます。」
佐助の言葉に、家康はやっと安心することができた。
「そう。三月後に戻れるんだね。」
「はい。細かい日時や現れる場所はまだわかりませんが、三月後には元の時代に帰れるかと……で、家康さん。その間の生活ですけど……」
コンコンっ
「あ……はい」
続く言葉は、佐助の部屋のドアをノックした音に遮られた。佐助はドアに向かって返事をすると、ドアが少しだけ開き、その隙間から陽菜が顔を出す。
「佐助くん、ご飯出来たから冷めないうちにどうぞ。あと……お友達の方の分も用意してるので、良かったら……」
裸を見られたのが、かなり恥ずかしかったため、家康の顔を見ることが出来ず、後半部分からだんだんと声が小さくなっていく。
「わかった。ありがとう。家康さん、行きましょう。」
「え……でも…」
さすがに食事までよばれるのは申し訳ない気がして、動こうとしない家康。
そんな家康に、佐助は声をかける。
「まだ話の続きもありますし、腹ごしらえしましょう。それに、おばさんのご飯は美味しいですから、食べないと勿体無いですよ。」
「……………」
そうまで言われては、せっかくのご厚意を無下にできない。家康は腰を上げて、佐助と一緒にダイニングへと向かった。