第1章 時をかけあう恋~ファーストコンタクト~
陽菜が脱衣場を出ていくと、佐助は痛むみぞおちに手をあてながらゆっくり起き上がり、棚からバスタオルを取って、浴室のドアに近づく。
「家康さん、タオルをどうぞ。」
佐助の声に、家康はドアを少しだけ開けて、手だけを出して佐助からバスタオルを受けとる。
タオルで濡れた身体を拭くと、バスタオルを越しに巻いて、浴室から出てくる。
「(………素晴らしい身体っ!!!)」
鍛練で鍛え抜かれた家康の裸体を見て、顔には出ていないが、興奮状態の佐助。
「(こんな素敵な身体を拝めるなら、背中流しましょうか。って言えば良かった!)」
言っても確実に断られるのだが、ダメ元で言えば良かったと本気で後悔する佐助。
コンビニで買った下着と、着用回数が少ない着替えを家康に渡し、着用の仕方を説明すると、家康の着替えのため脱衣場を出て、着替えが終わるまでドアの前で待っていた。
「(陽菜さんには悪いことしたな……)」
待っている間、先程のやり取りを思い出す。
家康に会えたことに興奮していたため、陽菜からのメッセージにも気づかず……
挙げ句の果には、自分の服を家康が着ると思うと、それはもう天にも昇りそうなほどの気持ちになっていた……。
だから、陽菜が帰ってきたことも、悲鳴をあげるまで気づかなかったのである。
自分の失態を反省していると、脱衣場のドアが開き、半袖スウェットに身を包んだ家康が出てきた。
キッチンまで連れていき、お茶を出して家康に手渡して少し待ってもらい、佐助はすぐに2階に上がって、すぐに降りてきた。
しばらくすると、パタパタと階段を降りる足音が聞こえ、陽菜はお風呂場に直行していった。