第8章 書類配り
「いくら京楽隊長でも許せませんよ?手を出すなら他に当たってください」
『り......く...』
璃久は〝あの日〟の事情を知る数少ない人物の一人だ。
私が春水から離れた理由も知っている。だからこそ、こんなに怒っているのだ。
京「ふぅー、怖いねぇ」
『.........』
「.........」
京「ごめんね、千紗ちゃん。驚いたでしょ?千紗ちゃんの目が僕の知り合いによく似ていたから、ついね」
ドクンッ
『その子も君みたいに優しくて、冴え冴えとした目をしてたんだ』
笑っているのにどこか泣いてるような表情の春水。
『そう......で...す.........か』
何も言えなかった。
春水のあの顔を見て、自分がどれだけ彼のことを傷つけたのかを思い知らされたから。