第8章 書類配り
京「え?」
春水が笠を上にあげると、目線があった。
『......っ』
つい目線を逸らしてしまった。
どうしよう...なんて言おうとしたのか忘れちゃった......
「おい、千紗?どうした?」
『あ、いや、すみません!!』
早く渡して帰ろう。
手にしていた書類を渡そうと春水に近づく。
『総隊長からの書類です』
「どうぞ」と言おうとした瞬間、
グイッ
『え?』
腕を引っ張られ、春水の上に倒れこんだ。
『......っ!!』
まずい。さっきと同じだ。早く...早く離れないと......
『あ、あの...離してくださ......』
京「ねぇ、千紗ちゃん。君...」
メガネを外され、目元をなぞられる。
お願い。早く離して。そうじゃないと......
グイッ
「すみません、京楽隊長。こいつは俺の〝彼女〟なので」
璃久は怒ったように言うと、私を引き離した。