第8章 書類配り
『変わらないわね〝梢綾〟』
昔そうしていたように彼女の幼名を呼ぶ。
実は、梢綾(砕蜂)とは夜一よりも付き合いが長いのだ。
五大名家である璃咲と下級貴族である砕蜂は、本来なら関わるはずのない家柄なのだが、ひょんなことから出会い、度々修行をするようになったのだ。
砕蜂が隠密機動へ入隊すると、夜一も交えて修行をするようになっていった。
それから砕蜂は璃咲と夜一を尊敬しているのだ。
だから、久しぶりに会えたと思ったら、他人のフリをされ、砕蜂は若干拗ねていたのだ。
砕「本当にお久しぶりです!!璃咲様!!お元気そうでなによりです!!」
『よく私だってわかったね』
砕「お姿が変わられても、璃咲様は璃咲様ですから」
そう力説され、苦笑する。
『それはそれは。あ、これ書類ね』
持っていた書類を渡す。